この夏、自転車楽しまれていますか?日々体調が悪くなるレベルで猛暑がつづいていますが、自転車は夏乗るのが大好きなBEACH LINE BICYCLEの森下です。
「インスタライブ見ています」なんて店頭でもお声がけ頂き、大変恐縮でございます。
インスタライブでもご紹介いたしましたが、当店では「enve(エンヴィ)」の取扱いがスタートしました。
ワールドクラスのホイールブランドであるenveが店頭でみて触れるのはほんとに貴重だと思います。
ライブが見れなかった人達の為にも、今回はenveのホイールと、なぜホイールをアップグレードする必要があるのかをご説明いたします。
enve(エンヴィ)とは
ハンドメイドインUSAを貫く、アメリカンブランドになります。ものづくりに並々ならぬ情熱を燃やし続ける、プロフェッショナルによる「本物を作り続ける」ブランドです。
enveが新製品の開発から製造までのすべてをアメリカの自社工場で完結できる体制にしたのには理由があります。
「アイディアを即実現して、製品化する」
日々進化する自転車コンポーネントのトレンドにも敏感おに対応できるよう、enveは自社工場で製造プロセスをコントロールすることが出来ます。
外注による金型作成に時間要するなんて惜しい。すべて自分たちで1から作り上げる。
この情熱がenve最大の魅力とenveにしかなしえない技術なのです。
enveの代表モデル
enveと言えばホイール。カーボン製造と組み立てまで、繊細かつ高度な技術でハンドメイドされるホイール達の性能は間違いなくワールドクラスです。
その代表的なモデルとして
ロードバイクは
SES
ファンデーション
の2シリーズがリリースされています。当店には「ファンデーション」シリーズが店頭在庫で入荷していますので、今回はロードシリーズのホイールをご紹介します。
enveファンデーション フックレスリムを採用したセカンドグレード
enveのセカンドグレード「ファンデーション」シリーズ。当店にはファンデーション45が入荷しました。
enveのホイール最大の特徴といったら、「フックレスリム」になります。
その名の通り「リム内側にフックのないリム」となり、フックがないおかげでタイヤがより適切な大きさへ膨らみ、エアボリュームも増えるメリットがあります。
「リム内側にフックがない?」
・どうやってタイヤをリムに固定してるんですか?
・それカーブでリム外れますよね?
・チューブレスでしか使用できないんでしょ?パンクしたら対処できないんですど・・・
フクックレスについてネガティブな意見もあることはよく知っています。enveを語る上でこのフクックレスについて説明する必要がある様です。
フックレスリムに仕組みとメリット
フックレスリムの仕組みついてご説明いたします。まずなんでタイヤがフックレスリムに固定されるのかの仕組みについてです。
結論から言うと、チューブレスタイヤはリム内側のフックに引っかかってタイヤに固定されているわけではありません。チューブレスタイヤを取り付ける為のリムには、内側に「ハンプ」と呼ばれる溝が切削されています。
(enveではビードロックと表記されます)
チューブレスタイヤに空気が入ると、タイヤが膨らんでビードロックへビードが落ちます。ビードが落ちることで適正空気圧まで膨らみ続けるタイヤが徐々にリムへ密着されて固定されます。
チューブレスタイヤを膨らませるときに鳴る「パンッ!!」と言う音はビードがビードロックに落ちて固定された際に鳴っているのです。
ではなぜフックが付いているホイールがまだ存在しているのかというと、「チューブレスタイヤを高気圧で運用する必要がある場合に対応する為」になります。
チューブレスタイヤ最大のメリットは「低圧でタイヤが機能してトラクションとハンドリング・乗り心地の向上」になります。タイヤを高気圧で使用する際、路面からの段差でタイヤが跳ねやすくなりトラクションが掛かりにくくハンドリングが悪くなり、乗り心地も硬くなってしまいます。高圧運用がすべてのシチュエーションでデメリットしかないというわけでないのですが、高気圧で運用したほうがいい場合もあります。
ウエイトが多いバイク(人間と荷物の合計重量が多い)などは、低圧すぎる使い方をするとパンクやリム打ちによるホイールの破損を招きます。また、チューブレスのメンテナンス性の低さが好ましくないユーザーやメーカーもいる為、その両方に対応すべくフックドデザインを採用しているチューブレスホイールも存在しているのです。enveのようにすべてのリムをフックレスにしてしまえとはいかない為、メーカーも工夫を凝らしているわけです。
チューブレスとはそもそもタイヤ自体を膨らませるシステムの為、クリンチャーとはシステムが全く違います。より低圧でタイヤを機能させるチューブレス。それに対応するリムを進化させてより低圧でタイヤを機能させるシステムがフックレスリムになります。
フックレスリムはフックが無いため、ビードロックでタイヤを固定しています。フックが無いためビードが横方向に広がり体積がより広くなります。その為、通常のチューブレスタイヤよりさらに低圧でもタイヤとして機能できるのです。
空気の量が減るとタイヤがペコペコになると錯覚してしまいますが、車のタイヤを想像してください。あんなに大きなタイヤなのに、入っている空気圧は2気圧程度です。これはタイヤが大きすぎるが故に体積が多いため適正空気圧に達するまでの量を計測した際タイヤの空気圧は2気圧に達するまでに大量に空気を入れなくてはならないのです。ペコペコになると錯覚してしまうのはクリンチャータイヤのようにチューブを膨らませないとタイヤが膨らまず機能しない仕様が馴染み深いのも関係しているからかもしれません。
フックレスリムの場合ビードが変形せず膨らむ為、フックドで装着されたタイヤより体積が大きくなります。その為低圧でも空気は大量に入っているのでペコペコになることは無いのです。
フックレスリムが登場することによって、各社タイヤメーカーもフックレスリムに対応させる前提での新商品開発に着手し始めました。フックレスリムには前提として「フックレスリムに対応するタイヤ以外は装着できない」デメリットがあります。フックレスリムに対応した形状でないと空気を保持できない為と、そもそもビードロックにタイヤが固定できず外れてしまうためです。タイヤメーカーもフックレスリムに対応できてチューブレスレスでもクリンチャーでも使える様なタイヤを開発できないと、今後コンポーネントの進化に対応できないと思ったのか。今ではほとんどのタイヤメーカーでフックレスリムに対応したチューブレスタイヤはリリースされています。
また、フックが無いためタイヤが膨らむ際に段差ができにくくなります。タイヤがリムの形状にそって理想的な形に膨らむことで、タイヤの性能が向上しリム形状におけるエアロ効果もより最適になります。
さらにタイヤの形状が理想的になる為、低圧時のリム打ちパンクにも耐性ができました。フックがあることで電球のような形で膨らむタイヤは、リム打ちしてしまうとフック部分と地面にタイヤサイドが挟まり「サイドカット」によるパンクリスクがあります。フックレスリムはタイヤが変形せず横方向へ膨らむ性質の為、リム打ちした際もサイドカットするような変形が起きにくくリム打ちによるパンクに耐性があるのです。
少々長くなりましが、フックレスリムの登場によるメリットは数多くあります。そのフックレスリムをいち早く世に生み出したパイオニアがenveなのです。
ファンデーション45
当店に入荷したファンデーション45。フックレスリムを採用したenveセカンドグレードになります。
うち幅は21mm。外幅28mmのリムハイト45mmのリムは耐リム打ちパンク性能もそなえチューブレスに最適化せれています。
さらにenveが開発した新型ハブ「INNER DRIVE(インナードライブ)」を搭載し、抜群の回転性能と整備性を向上させています。このハブは上位モデルSESシリーズにも採用されるハブとなります。
手に持ってみると重量1,535g(カタログ数値)の重量は、このクラスでは普通かなと思います。しかし、ベアリングの回転がとてもなめらかで、回転させると勝手に回っている様な錯覚を感じます。INNER DRIVEの掛かりも良いです。
マニアックな話ではありますが、スポークがsapim(サピム)CX Sprintを使用し、より剛性の高いエアロホイールへと組まれています。
ファンデーションシリーズは、45mmハイトと65mmハイトの2種類がラインナップされています。ハイトが違えど、うち幅と外幅は45も65も同じです。
価格はハイト問わず¥299,860(税込)ギリギリ30万を切ってくる価格です。
SESシリーズ
enveハイエンドモデルがSESシリーズとなります。ハイトに応じてホイールが最大限楽しめるシチュエーションが可視化されており、どれを選んでも最高品質がゆえに、どれを選ぶか迷ってしますSESを用途に応じて選びやすくしています。
SESは風洞実験だけでなく、実際の道路上でも最高のパフォーマンスを発揮できるよう開発されました。
ポイントとして各モデル共通で「フロントはハンドリング向上の為ハイトが低く、リアは空気抵抗削減の為高く」設計されています。ハイトのだけでなく、スポーク周辺の構造も「横風の影響を少なくするためにフロントは丸みを帯びたデザインで、リアは空気抵抗削減の為尖った形状」で設計されました。
当店でもSESシリーズの人気は高く、SES6.7シリーズがもっともenveらしいエアロ交換抜群のカーボンディープリムホイールです。内幅がファンデーションより広い23mmとなり、フックレスリムの効果も抜群です。
SESシリーズはリム単体販売もある為、手組で真のハンドメイドenveホイールを作り出すことも可能です。
SES2.3~6.7までファンデーション同様に価格は¥499,950(税込)で統一されています。ハイエンドにふさわしい価格ですね。
enveの充実したコンポーネントとアクセサリー
enveはホイールにだけでなく、フレームからハンドル・シートポストなどコンポーネントも開発しています。enveで車体一台を組み上げることも可能となった今、enveのランナップは完成されたといっても過言ではありませんね。
アクセサリーも充実ており、フックレスリムを開発したenveはもちろんフックレスに最適化されたチューブレスタイヤもリリースしています。
SES ROAD TIRE 700×25~35c
SES ROAD TIREは、enveが培ってきて10年以上にわたる製品開発により生まれたSESシリーズの性能を最大限発揮できるタイヤになります。
風洞実験が当たり前のenveですので、このタイヤも例外ではありません。装着されたタイヤはリムを流れる空気を流れを整え、天然ゴムと剛性ゴムを最適に配合したコンパウンドはグリップ力と耐久性も高いタイヤとなっています。
SESシリーズのみならず、タイヤだけでも購入して使ってみたくなりますね。
SES ROAD TIREはサイドカラーがブラックとタンの2種類ランナップされ、サイズ・カラー問わず¥14,960(税込)となります。
enve はTPUチューブが使えます
フックレスはチューブレスに最適化されたリムになります。しかし、SES・ファンデーションシリーズはチューブレスタイヤにTPUチューブをいれて使用することが可能です。
TPUチューブとは、軽量なプラスティック製のチューブです。とても軽量なため、乗り心地がチューブレスタイヤに匹敵し、チューブレスタイヤの導入にネガティブなユーザーでも気兼ねなく軽量化と乗り心地を向上させることができる人気アイテムです。
enveのフックレスリムにTPUチューブ使用時の注意点として、
絶対にクリンチャータイヤをSES・ファンデーションシリーズに使用しない事
ホイール・タイヤの最大空気圧を超えない事
確実にビードを上げること
これらを確実に実施することが条件となります。SES ROAD TIREと組み合わせて使うほうがいいかもですね。
足元のアップグレードは、レベルアップへの第一歩
自転車というスポーツは初心者でいる時間が短いスポーツです。
10キロ、20キロ。やがては100キロと、走れる距離が増えるごとに変速のコツや登り方をおぼえてどんどん上達することが出来ます。
そして更なるレベルアップが必要となる時期が来るのです・・・もっと楽に速く遠くへ行きたいと。
ホイールが完成車についているままの状態と、ホイールをアップグレードをした車体とはどうしても性能に差が生まれます。
登坂力が高くてついていけない・・・
平坦巡行速度が速すぎてついていけない・・・
走行に直結するホイールをアップグレードすることは、自身の成長・レベルアップにもつながるともいます。
ホイールをアップグレードして更なる次元へと成長してみませんか?