BEACH LINE BICYCLEメカニック森下です。
前回のブログその10W(ワット)を削りだせ!!空気抵抗削減がもたらす影響はご覧いただけましたでしょうか。
リンクからブログが読めますので、お時間のある方は読んでいただくととっても嬉しいです。
空気抵抗がもたらす影響を前回ご紹介しましたが、我々ライダーを縛る「抵抗」には空気抵抗以外にも存在することをご存知でしょうか。
「そんばかな!!空気抵抗を減らすだけではまだ楽に走ることはできないのか!?」
実はそうなんです。抵抗の種類を知ることが我々が楽に、速く走ために必要な情報であると同時に、今回のブログでバイクのメンテナンスをしたくなるはずです。
ではご紹介していきます。
抵抗の種類。速度におうじて抵抗は増えていく
「楽しくサイクリングをしていたはずなのに楽しくない・・・」
「こんなにキツイなんて・・・もう帰りたい・・・」
気持ちよく走れないと、ついネガティブなことを思ってしまいます。必ずしも、自身の努力が足らないから速く気持ちよく走れないわけではないのです。走りを阻害してくる「抵抗」が発生しているが故に、私たちは無駄な労力をつかって走っているのかもしれません。
抵抗は主に3種類存在します。
・空気抵抗
・機材抵抗
・路面抵抗
これらの抵抗が合わさることで、思い通りにバイクを走られることが出来なくなってきます。
空気抵抗については「その10W(ワット)を削りだせ!!空気抵抗削減がもたらす影響」についてご紹介いたしましたが、今回は新たに「機材抵抗」と「路面抵抗」と言うワードがでてきました。ここはテストにも出る内容ですので,
しっかり勉強していきましょう。
機材抵抗。コンポーネントが引き起こす駆動ロス。
「機材抵抗」とは、チェーン・プーリー・ハブが駆動することにより生じる抵抗になります。
自転車を進ませるためには脚力を駆動パーツへ伝達させなければなりません。チェーンは走行中常に動きます。ハブは絶えず周り続け、プーリーは超回転し続けます。そう、自転車は回転するパーツだらけなのです。
この回転が何らかの影響で回り難くなり、やがて抵抗として走行に影響を及ぼすのです。その原因としては、チェーンへの油切れや汚れの蓄積。パーツの消耗によるものが主です。
機材抵抗は、空気抵抗と同じく速度が上がるにつれて増加します。
時速15キロの場合、機材抵抗はおよそ1W。時速30キロでは4Wとされています。
空気抵抗と路面抵抗を含めると、総仕事量は時速15キロの場合は22W。時速30キロでは113Wと、約5倍も増えていくことになります。
5倍だって!?そりゃ時速30キロ巡行が脱初心者の域と言われるだけありますよ。進ませるだけでこれだけの抵抗が生まれているんですから。
機材抵抗は日々のメンテナンスで予防しよう。しかし・・・
機材抵抗は駆動パーツのパワーロスによるものです。その原因の1つとしては「汚れ」です。
チェーン・プーリー・ハブにはベアリング等の回転パーツが使用されます。回転をスムーズにするためには定期的に注油や洗浄が必要です。油切れは異音の発生を引き起こしたり、パーツ自体の消耗度を早めてしまいます。
一番の対策としては、定期的に洗車・注油を実施する事です。
とあるケミカルメーカーによると、チェーンへの注油は「150kmに1回注油を実施するのが推奨」と言われています。150kmとは、毎日通勤をするユーザーの場合ですと1カ月~1カ月半に一度注油する計算となります。これは自転車の使用環境によっても様々で、雨がたくさん降った月であったり、保管状況が屋根のない屋外で、自転車に保護シート等を使用していない場合、もっと速い段階で注油する必要があるかもしれません。
しかも汚れているチェーンに注油をし続けると状況は悪化。汚れと油が反応してベタベタの泥が付いているような状態となり、チェーンが通常より速く伸びてしまいます。チェーンが掛かる「スプロケット」や「チェーンリング」にもその汚れは移ってくので、状況は最悪です。これでは機材抵抗が生まれるのもわかります。定期的な洗車を実施することで汚れをリセットしてあげる。そして注油を実施するだけでも駆動効率が向上します。
しかし・・・それは汚れがとれて元に戻っただけなんです。何が言いたいかというと・・・
「パーツ自体駆動効率が悪い場合、汚れることでもっと悪くなる。メンテナンスで元に戻っても駆動効率は悪いまま」という事です。
パーツ自体の駆動効率が悪いというは決して不良品と言うわけではなく、そもそものコストパフォーマンスに似合った性能で作られているという事です。機材抵抗の削減を目的としてつくられたパーツを使用していない為、パフォーマンスはいくら洗浄と注油を繰り返しても限界があるのです。機材抵抗削減を目的するならパーツの交換もやむを得ません。
機材抵抗の削減。駆動パーツのアップグレードをしよう。
クロスバイク、ロードバイク、MTBなど、完成車で販売されているモデルに搭載されるコンポーネントは、グレードによりますが主に「耐久性」と「コストパフォーマンス」を重視して組まれます。特にクロスバイクは日々使うことを目的としてつくられているバイクですので、良くも悪くもコストパフォーマンス最優先、交換前提で修理をしやすい構造となっています。
このコンポーネントたちを「機材抵抗削減」を目的に交換・アップグレードすることで、バイクの性能は確実に向上します。
アップグレードに最適なパーツ達は
プーリー
BB(ボトムブラケット)
ホイール(これはキリがないため、今回は割愛します。)
これらを駆動効率のよいパーツへ変更することで、機材抵抗の削減になります。
高性能ベアリング搭載プーリに交換しよう。トライピーク ジェットストリーム
まずはプーリーから。実はリアディレイラーに取り付けてあるプーリーの大半はベアリングが付いていません。ネジとプーリー台座が付いているだけで、チェーンの駆動と一緒に回っているだけです。摩擦抵抗が発生しているのでここが汚れていたり、錆びたチェーンを使用し続けると、とんでもないスピードで劣化がすすみ、機材トラブルが発生することもあります。
ベアリングが搭載されたプーリーは、駆動時の摩擦抵抗を低減し駆動効率が向上させます。機材抵抗の削減になります。また、摩擦抵抗の低減により軸受けの負荷も減るため、プーリーなどのドライブレインパーツの消耗も軽減されます。
そして最近よく耳にする「ビックプーリ」は、プーリー自体の大型化によりプーリー自体の回転が減り、チェーンが通る「チェーンライン」の角度が緩やかになり駆動抵抗も減る優れものです。
回転効率の向上は、機材の延命や機材抵抗の削減になる為、是非とも交換してみたいパーツですね。
当店には12速用ビックプーリ「トライピーク ジェットストリーム」を店頭にご用意しております。
このジェットストリーム。ビックプーリなのにプーリーゲージは交換しなくていいのです。元々のリアディレイラーから純正プーリーをとりはずしてジェットストリームに交換するだけ。プーリーはセラミックベアリング搭載で大型プーリーを採用している為、駆動効率が純正プーリーよりはるかに向上します。
よくプーリーゲージごと交換するタイプのビックプーリは、交換に知識が必要だったりチェーンの長さ調整が難しいです。リアディレイラー純正のプーリーゲージと形状も異なるため、変速性能が低下するなどの話もあります。
ジェットストリームは交換するのはプーリーのみなので、純正プーリーゲージを使用することで変速性能に変化がないのが特徴です。セラミックベアリングによる滑らかな回転のおかげで、ギアが1~2枚ほど軽く感じるとユーザーの方々から嬉しいレビューをよく聞きます。
ジェットストリームにはR7100/R8100用のプーリーと、R9200用プーリーがあります。
※プーリーゲージの形状が異なる為、R9200のリアディレイラーを使用されているお客様は購入時に間違ってR7100/R8100用プーリーを買わない様に注意してください。互換性は全くありません。
カラーバリエーションも豊富。お値段は双方変わらず¥29,920(税込)です。
ジェットストリームは当店のオンラインサイト「BIKE WORKS」からも購入可能です。サイトのリンクはこちら
アプリ会員様は、アプリ上のストアをクリックするとBIKE WORKSへアクセス可能です。
楽天市場にもBIKE WORKSは出店しています。楽天市場店はリンクからアクセスできます。
https://www.rakuten.co.jp/bikeworks/
クロスバイクでもプーリーを交換したい!!12速以下で使用できるプーリー
「実はリアディレイラーに取り付けてあるプーリーの大半はベアリングが付いていません。」
そう、クロスバイクやMTBも同様でプーリーにベアリングなんてついていないのです。しかしジェットストリームは12速用。しかもロードバイク。クロスバイクユーザーやMTBユーザーにはジェットストリームは使用できません。
でも安心してください。あらゆるユーザーの為にメーカーはすでに交換用ベアリング搭載プーリーを販売しています。
BBB ROLLERBOYS(ローラーボーイズ)7速~12速
オランダのBBBからラインナップされているローラーボーイズ。なんと7速から12速までそれぞれ対応するベアリング搭載プーリーを販売しています。もちろんスラム/カンパニョーロにも対応。
プーリーの材質は樹脂の為、音鳴りが少なくお値段も据え置きです。スチールベアリングモデルとセラミックベアリングモデルがありますが、一番高いGRX11速用セラミックベアリングプーリーモデルでも¥8,250(税込)コスパ良すぎる。!!
ROLLERBOYS(ローラーボーイズ)7速~12速 ¥2,200~8,250(税込)
KCNC JOCKEY WHEEL(ジョッキーホイール)
9~11速まで対応するアルミボディのベアリングプーリーです。ボディがアルミなので樹脂製に比べ耐久性が高いです。プーリーの歯数も11Tから15Tのラインナップがあります。カラーラインナップも豊富。
シルバー・ゴールド・ブラック・ブルー・レッド・グリーンの6色!!ドレスアップにも最適。
(ビックプーリのように元々使っているプーリーの歯数より多いモデルを使ってみたくなりますが、メーカー推奨は元のプーリーと同じ歯数の商品との交換になります。)
ジョッキーホイールはローラーボーイズとは違い、「スラムのディレイラーには、ロードもMTBも互換性がありません」カンパニョーロも互換性はありません。
セラミックベアリング搭載モデルをあり、ハンドスピナー並みに回転してくれます。
フルCMC製ビックプーリキットであるBIG JOCKEY WHEEL SYSTEM 9100 ブラック 12/16Tのラインナップもあり、R9100・R8000・R7000(11速シマノロードバイク用リアディレイラー)に対応します。歯先がナローワイド形状の為、チェーン落ちのリスクも軽減されています。しっかりとチェーンを保持して駆動抵抗を減少させます。
KCNC JOCKEY WHEEL(ジョッキーホイール)ステンレスベアリング
10~13T 各カラー/単品 ¥3,740(税込)
15T 単品 ¥4,950(税込)
JOCKEY WHEEL(ジョッキーホイール)セラミックベアリング 11Tのみ。各カラー/単品 ¥8,140(税込)
BIG JOCKEY WHEEL SYSTEM 9100 ブラック 12/16T ¥17,600(税込)
BB(ボトムブラケット)もセラミックベアリングで駆動効率を改善
プーリーにベアリングを搭載することで機材抵抗を削減できることがわかったかと思います。では同じくベアリングを使用しているBB(ボトムブラケット)もアップグレードしてみましょう。BBのセラミックベアリング化は度々車体のアップグレードには交換を提案する箇所になります。
トライピーク Therd(ネジ切)BB(BSA/ITA)alloy cup set
ジェットストリームに引き続き、トライピーク製のBBになります。このBBなんとすごい機能がありまして、「3-in-1コアシステム」を搭載しています。なんのこっちゃっと言いますと、このBBは1モデルで3種類のクランク軸が使用できます。
付属するスペーサーを組み替えることでシマノ24mmスピンドル・スラム29mmDUB・30mmスピンドルクランクに対応します。ネジ切式はピナレロなどに採用される規格「イタリアン(ITA)」に対応するモデルもラインナップ。ネジ切BB以外にもプレスフィットBBのラインナップもございます。
トライピーク Therd(ネジ切)BB(BSA/ITA)alloy cup set
スチールベアリング ¥20,680(税込)
セラミックベアリング ¥28,600(税込)
「ロードバイク用だけじゃなくて、クロスバイクやMTBでも使えるBBないの?」
わかってますって。おススメのBBございます。まずはスクエアBBから。
TANGE LN3922 クロモリ中実アクスルモデル。
このBBは一般的なクロスバイクに使用できる規格で、軸長が110mmから127mmまでラインナップがあります。フロント変速が2~3段。またシングルギアのクロスバイクのBBを交換する際に適合します。
TANGEはジャパンブランドで、精巧なベアリング制作技術を持っています。耐久性は申し分なく、回転力はシマノ製のスクエアBBを上回ります。
さらに軽量な「クロモリ中空アクスル」モデルもある為、交換することで駆動効率の向上と軽量化もできちゃいます。
TANGE LN3922 クロモリ中実アクスルモデル 各サイズ一律¥3,465(税込)
LN7922 軽量クロモリ中空アクスルモデル 各サイズ一律¥6,930(税込)
そしてTANGEにはホローテックタイプのBB「LN79SL」があり、このBBはロードとMTB兼用となります。BBにそなえつけられたアルミスリーブとカップの間にOリングが搭載されるため、防水性能も高いBBとなります。TANGEのベアリングはもちろん回転もスムーズ。
TANGE LN79SL ¥9,680(税込)
これで仕上げだ。Muc-Offチェーンコーティング。
プーリー・BBと駆動パーツ達をご紹介しましたが、何か忘れていませんか?そう「チェーン」です。
チェーンは自転車の駆動をつかさどると言っても過言ではないパーツです。脚力をホイールへ伝達する為にはチェーンの存在が不可欠。プーリーもBBも、効率的にチェーンをドライブレインへ誘導するパーツです。すべてが機材抵抗を削減させるために機能すれば、より少ない労力で自転車を速く楽に進ませることが出来ます。
必要なのはチェーンをより滑らかに動かすルブ(潤滑剤)と、チェーンの抵抗となる汚れの除去です。
チェーンの洗浄は思った以上に取れません。ディクリーザー(チェーンの汚れ落とし)を使用して洗浄を試みても、コマの隅々まで蓄積した汚れはチェーンを駆動すると黒い汚れとなって浮き出てきます。この汚れはチェーンが駆動する際の鉄粉なども混じっている為、とても細かい粒子のようなもの。ディクリーザーにいくら漬け込んだところで延々と黒い汚れがディクリーザーを染めるだけです。
Muc-Offのチェーンコーティングは、まず超音波洗浄から始まります。Muc-Offが開発した超音波洗浄専用ディクリーザーを使用してチェーンを超振動させます。これによって粒子上の汚れまで浮き上がらせることが出来ます。コマの隅々まで洗浄されたチェーンは、それだけでコマの動きが良くなります。
(Muc-Offの超音波洗浄専用ディクリーザーは市販されている商品ではありません。Muc-Offチェーンコーティングにのみ使用できます。市販の超音波洗浄機にディクリーザーをいれてチェーンを洗浄した場合、チェーンから剥がしてはいけないコーティングまで剥がれてしまいチェーン自体の破損や寿命が短くなります。メーカー非推奨ですので、市販の超音波洗浄機とディクリーザーを用いた洗浄は自己責任でお願いします。)
洗浄が終えると、コーティング作業になります。Muc-Off最速のルブである「LUDICROUS AF LUBE(ルディキュラスAFルブ)」を超音波の力でコマの隅々まで浸透させます。このルディキュラス、Muc-Offのサポートするプロチームやアスリートと共同開発されており、
最大1,600キロ潤滑性能が持続
パワーロスが他社のルブに比べ3%以下
雨の日からドライなコンディションまでパフォーマンスが持続する
まさに最強のルブなのです。(ルディキュラスAFルブ 1本¥9,900税込み。価格も最強クラス!!)
超音波の力によりコーティングされたチェーンの動きはまるで別物。摩擦抵抗が極限まで少なくなっているので、変速もスムーズに決まります。これが1,600キロまで持続するのですから驚きです。
Muc-Offチェーンコーティングは繰り返し実施することも可能で、繰り返し実施しておいた方がチェーンの寿命も通常の3倍長持ちするデーターもあります。チェーンが延びる原因は、摩擦によりチェーンのプレートに接しているコマの部分が削れて空間が出来てしまうことにあります。摩擦がそもそも少なければチェーンは伸びにくくなるのです。
駆動効率も良くなって物持ちもよくなる。面倒な注油作業も最大1,600キロまでしなくていいのなら、1度Muc-Offチェーンコーティングを試してもいいかも。是非試しましょう!!
Muc-Offチェーンコーティング
¥4,980(税込)がなんと、2025/12/31までキャンペーンプライスで¥4,480(税込)となっております。
Muc-Offチェーンコーティングにつきましては、リンクからも詳しい情報が確認できます。
https://www.cog.inc/muc-off/muc-off-ultrasonic-chain-optimisation
機材抵抗削減と空気抵抗の削減。一気にやっちゃおう。
少しばかり文字数が多くなってしましたが、いかがでしたでしょうか?
抵抗に関するお話しはなんとまだまだ続くんだなぁこれが。
機材抵抗と空気抵抗の削減にはもちろん費用と時間が掛かるものです。機材抵抗に関するアイテムであれば「オーバーホール作業」を実施する際に検討するといいかと思います。
フレームとコンポーネントたちをすべてバラバラにするため、消耗しているパーツをじっくり探るチャンス。
パーツ選びの際はお気軽にお問い合わせください。