秋がやってきました。まだ暑い日は続いていますが、蒸し暑さと言うよりはカラッとした暑さに変わった気がします。BEACH LINE BICYCLEの森下です。
「コンポーネントを語ろう」と題しましてブログを執筆いたします。いきなりですが、カンパニョーロについて語ろうかと思います。
カンパニョーロって何とは?ここまで掘り下げて語ると文字数がとんでもないことになりそうですので、現行モデルの商品に限り執筆しようと思います。
最近BEACH LINE BICYCLEではカンパニョーロの最新13速コンポーネント、「スーパレコード13」を納品させていただきました。そのあまりの完成度の高さに感動しました。ご注文頂きましたオーナー様には感謝しきれません。
スーパーレコード13を組むにあたって僕も勉強をしっかりおこなったわけですが、資料を読み、マニュアル動画を見続けた結果。
「僕も欲しくなってきた・・・」
そう、至極当然の感情が沸き立ち、欲求を抑えられず私も「カンパニョーロエカル」をインプルソに組むことを決意しました。カンパニョーロを組む機会にも恵まれて、これはブログを書くしかないとおもい執筆しております。
カンパニョーロ現行モデルの13速コンポーネント、スーパーレコード13とエカルとはいったいどんなコンポーネントなのか。ご紹介していきます。
カンパニョーロの13速コンポーネント
カンパニョーロは13速コンポーネントメインにコンポーネントを展開しています。世界最速で2×13速コンポーネントを世に送りだし、即ツールドフランスで実践投入までしてその性能の高さをみせてくれました。ワールドチームにカンパニョーロが帰ってきたのもここ数年ぶりでしたので、13速コンポーネントを実践投入というニュースは衝撃的でした。
「もういい加減ギアの段数増やすのやめない?」
「最終的には後輪ホイールすべてがギアの塊になるんだろ?」
そんな辛辣なジョークも飛び交うのもわかる気がします。段数増えて何の意味があるのかって話なんです、結局は。
しかし、カンパニョーロがリリースしてきたギア構成をみると、この13速化はなるべくしてなったと言わざる負えないです。
カンパニョーロのクロスレシオ。リア変速が気持ちよすぎる
カンパニョーロのスプロケットは歯数差の少ないクロスレシオが多い印象です。(クロスレシオとは、使用頻度の高い範囲でのギア比差が少なく、ペダリングにあわせたスムーズな変速が可能になるギアレンジのことです。)
スプロケットの歯数差がすくなければ、ケイデンスがよりスムーズになり速度維持もしやすくなります。変速もスプロケットの歯数差がすくないので、まるでチェーンがスプロケット上を舐める様に超高速で変速していきます。
カンパニョーロにはウルトラシフトと呼ばれる変速機構が備わっており、レバーを深く押すことでなんと5段一気にシフトアップできる脅威の変速が可能です。
人間工学に基づき造られたエルゴパワーの握り心地も相まって、リア変速が気持ちよすぎます。スプロケット上を高速でチェーンが行き来し、理想のケイデンスを維持したまま変速を行うカンパニョーロのコンセプトが、13速になってとうとう完成に近づいていると思います。
13速化をはたしたカンパニョーロ スーパレコード13。もっともクロスレシオなギアの場合、脅威の9段目まで1T(歯)ずつの増加となるとんでもないギアステップとスムーズな変速を実現しています。(10-29Tスプロケットの場合)
この気持ちよさは癖になる事間違いなし。走るのが楽しくなってきます。
13速コンポーネント。エカルとは
カンパニョーロの13速コンポーネントは「エカル」から始まりました。このエカルとはグラベルコンポーネントであり、フロント変速のない「フロントシングル」を採用した1×13速コンポーネントになります。
カンパニョーロの機械式コンポーネントを組んだことがあるのですが、実は機械式のフロント変速調整がかなり難しいカンパニョーロ。変速のタイミングというか、なかなか入りずらくてシフトミスすることがあるんです。せっかく気持いいリア変速なのに、フロント変速難しいなぁとおもっていた僕からすると、リア変速しかないエカルは魅力的でした。
このエカルの誕生によって13速コンポーネントの開発は進み、最新モデル「スーパーレコード13」へと技術が継承・昇華されていくのです。
1x13速最大のメリットとしては、スプロケットに2x11速の有効ギア比のみが集約されていることです。
「いったいなんのこっちゃ」と思います。2x11速コンポーネントを使っている人は、よく店員さんから「2x11速なので22段変速なんです」と言われたことがあると思います。
間違っていないのですが、深堀していくと選択できる22段の変速パータンでギア比がかぶっている場所があるんです。フロントが1段目でも2段目でも、ギア比が変わらない場所があるから、フロント変速をしてギア比を変更していく必要があります。
このかぶっているギア比を排除すると残るのが「有効ギア比」となり、2x11速の場合有効ギア比の数はなんと13速となるのです。エカルは13速ギアを搭載しているので、右レバーシフトだけで実質2x11速コンポーネントの有効ギアを操作できるコンポーネントなのです。フロント変速がないのでシフトミスも起きないし、フロントディレイラーない分、軽量化と空力性能の向上にもつながります。
3種類のスプロケットは、ロードレースからトレイルでも使用可能なギア比がラインナップされていてます。グラベルレースバイクのインプルソも、その性質上オンロードでもグラベルでもかなり速い速度域で走行可能な設計なので、エカルを載せることでより使い勝手の良い(もうバイクを複数台持つ必要がない)万能バイクを作れると確信しました。
実際GRX610(2×12速)からエカルに載せ替えて、レバー重量がエカルの方が軽いためハンドリングがよくなりました。エカルのギア構成は、フロント42T。リア9-42Tとなっています。ローギア比が1:1ですので登坂力も抜群。トップギア比は4.6と、52-11T相当のギア比を出せるので下りでも踏めます。13速ギアおそるべし。
もうインプルソで攻略できないオンロード、グラベルロードはギア比的にないんじゃないか?
スーパーレコード13。耐久性と世界最速の変速スピード
スーパーレコード13はコンポーネントの材質を見直すことで、耐久性・軽量化・コストパフォーマンスの向上を実現しています。(コストパフォーマンスについては良くなったとはいえスーパーレコードなので安いわけありませんが、実際安くはなりました。)
コンポーネント自体の耐久性が向上しています。スプロケットとチェーンに施された「ブラッククローム」加工が騒音の低減と耐久性向上に貢献している。(シマノCUESの様な黒光り加工に似ています。この加工によって錆びや摩耗への耐性が向上しています)
もともとカンパニョーロは壊れにくいコンポーネントで、パーツの交換頻度が低いため初期導入金額は高価なものの、維持費は比較的リーズナブルな印象です。(シフトケーブルなど純正品は5本入りからでしか買えなかったりするので、交換する度に買い直す頻度も減っていきます)
変速スピードは文句のつけようがないほど高速です。クロスレシオのギアも相まって、実際に路上を走行してみると変速時の抵抗が全く感じられません。理想的なケイデンスコントロールでギアが変わっていくのはほんとに気持ちがいい。
フロント変速スピードもカンパニョーロ史上最速、かつ精密です。前作から大幅に進化した部分はこのフロントディレイラーではないでしょうか。バッテリー位置の変更と形状の見直しによりスリムになりました。出っ張りがすくなくなったことで落車時のダメージ軽減や、空力の面でも優れたデザインとなっています。
リアディレイラー本体にも改良が加えられ、プーリーは前作12Tから14Tへと大径化され、ガイドプーリーにはセラミックベアリングを搭載しています。もうはじめっからビックプーリ付けてきてるような物なので、チェーンフリクションの低減と変速性能が劇的に向上しています。その効果によりスプロケット全般の変速スピードとしては、シフトアップ(ロー側)2.1秒。シフトダウン(トップ側)は1.9秒で変速が完了してしまいます。早すぎるやろ!!
機械式と電動。あなたはどっちのカンパニョーロで組む?
カンパニョーロは機械式と電動、双方のラインナップが展開されています。結構珍しいのですが、機械式リムブレーキで2×12速コンポーネントをリリースしているのはカンパニョーロのみとなります。コンポーネントをアップグレードしたいけどディスクブレーキは使えないユーザーからすると、カンパニョーロならコンポーネントのアップグレードが可能になるわけです。
現行ラインナップはこちら
≪機械式 2×12速≫
スーパーレコード(リム・ディスク)
レコード(リム・ディスク)
コーラス(リム・ディスク)
≪機械式2x11速≫
ケンタウル(リムのみ)
≪機械式1x13速≫
エカル(ディスクのみ)
エカルGT(ディスクのみ)
≪電動コンポーネント≫
スーパーレコード13 (ディスクのみ。2×13速ワイヤレス)
スーパーレコードWRL(ディスクのみ。2×12速ワイヤレス)
スーパーレコード S WRL(ディスクのみ。2×12速ワイヤレス)
カンパニョーロEPS (リム・ディスク。2×12速有線)
なんと10種類も現行モデルはラインナップがあります。様々なフレームに組付けが可能なので、名車を現代コンポーネントで蘇らせる際や、バラ完でカンパニョーロを楽しむのもありです。
カンパニョーロは世代間でパーツ互換性がない場合がありますので、組付けの際はお気がるにご相談下さい。
コンポーネントシェア率では世界第3位。10%しか占めていないカンパニョーロですが、その10%に僕も仲間入りしたので、これからカンパニョーロを深く、じっくり味わっていこうと思います。
カンパニョーロ。皆さんも組付けてみませんか?