BEACH LINE BICYCLEの森下です。
ついに阿蘇ヒルクライムまであと2日となりました。減量は順調にすすんでいて、現在67.7キロとなりました。
体が軽いとやっぱりヒルクライムは楽ですね。もっと楽に登れたらどれだけいいことか・・・
「ちょっとそこの君。いい商品あるから使ってみないかい?」
森下「はっ!あなたはあの有名な」
一体秘密兵器となんなのか・・・阿蘇ヒルクライムまであとあと2日。最後の調整をしていきましょう。
カーボンドライジャパン セラミックホイールベアリングとは

カーボンドライジャパン(以下CDJ)様より、セラミックホイールベアリングを提供していただきました。
CDJと言えば破損してしまったカーボンフレームの修理や、再塗装を専門とするメーカー。その技術力を生かし、様々なカーボンパーツや高性能ベアリングの製造も手掛けています。
今回頂いたのは、「CDJ セラミックホイールベアリング」になります。2種類のバリエーションがあり、ブルーベアリングとブラックベアリングがランナップされます。
それぞれのベアリングの特徴を見ていきましょう。
CDJ セラミックホイールベアリング 「ブルーベアリング」

ブルーベアリングの特徴は、潤滑剤に超低粘度オイル「CDJ チューニングオイルNEXT」を封入した効率重視のベアリングとなります。
CDJチューニングオイルNEXTは非常に低粘度、かつ油膜切れが起きにくい特徴がある為、セラミックホイールベアリング本来の高い回転性能を最大限に引き出せます。


ちょっと難しいデータになりますが、一般的なスチールベアリング(市販品)と、ブルーベアリングのベアリング抵抗数値比較してみると、一般的なスチールベアリングの抵抗平均値が1.612mN・m(ニュートンメートル)であったのに対し、ブルーベアリングは0.198mN・mと抵抗値が明らかに低い結果が出ています。
※物理的な力の目安。1mN・mは0.001N・mに相当します。これは、回転軸から1m離れた位置にわずか0.1gの物体をぶら下げたときに動く力(重力)に等しいトルク(力)になります。
一般的なレベルの感覚では、「平均抵抗値1mN・m以下」と言う次元は、紙一枚を引っ張るよりも弱い力になります。そんな微弱な力でも回転してしまうほどのベアリングがこのCDJブルーベアリングなのです。
とんでもない技術力だ!!
CDJ セラミックホイールベアリング「ブラックベアリング」

ブラックベアリングは封入される潤滑剤に違いがあります。オイルを封入したブルーベアリングと違い、タングステングリスを封入したモデルがブラックベアリングとなります。
ブラックベアリングはメンテナンスフリーのセラミックベアリングとなります。高い保護性能により回転負荷や走行振動からセラミックベアリングを保護し、安定した回転性能を持続させます。
セラミックには「脆性(ぜいせい)」と言う特性があり、金属が持つ「靭性(じんせい。粘り強さや弾性力)」が乏しい為、衝撃が加わると割れやすいです。ブラックベアリングでは、封入されるタングステングリスがその弱点をカバーする形となっています。
相性のいいジャンルとしては、MTB・グラベル・クロスバイクあたりではないでしょうか。汚れることが多いシチュエーション。耐久性が必要でメンテナンスをあまり必要としなければ、それだけ長い間セラミックベアリングの効果も相まって環境としては最適だと思います。

気になる抵抗平均値は、1.026mN・mと言う結果が出ています。ブルーベアリングより抵抗はありますが、市販のベアリングより抵抗平均値は低い数値となっています。
ベアリングを交換してみよう
さて、いよいよベアリングの打ち換えを行っていきましょう。
今回ベアリングを打ち換えるホイールは、「MAVIC(マビック) ALLROD S」です。
※マビックを今回選択しましたが、1つお伝えすることがあります。マビックはベアリングを純正以外の商品と交換すると改造となるため、保証サポートが受けられません。ベアリングの打ち換えには専門の知識と工具が必要となります。打ち換え作業中にハブが破損した場合や、打ち換え後に何かしらの機械的トラブルが生じた場合、マビックのサポートは受けられません。予めご了承ください。打ち換えは専門工具を持ったプロショップへ依頼しましょう。
BEACH LINE BICYCLEには専用のベアリング打ち換え工具を用意しています。
まずはベアリングを打ち出すためにハブを分解していきます。

左側のキャップを取り外し、アクスルシャフトを固定しているCクリップを取り外します。このCクリップを外すのがまず最初の難関でしょう。パワーで外してはいけません。優しく、知恵の輪を解く様に外していきます。

とてもきれいで軽量なアクルスシャフトですね。取り外すと左右のベアリングへアクセスできるようになります。

しかし右側(ドライブレイン側)はまだ取り外すパーツがあります。

ID360のラチェットを受けているパーツ達です。上から順にバラしていきましょう。
ここでポイントですが、このように構造が複雑な製品は、初見でバラすともの通りに組めなくなることがあります。初見なんでバラした順番なんておぼえていないですよね。
組めなくなるととても厄介ですので、ばらす前に写真や動画を取ることをお勧めします。あとで見返すことでパーツの欠損にも気づける可能性があります。

一番外側にあった防水パッキンを取り外したら、Cリングを取り外していきます。このCリングはとても柔らかく曲がりやすい為、決してパワーでこじ開けようなどはしないでください。知恵の輪を解く様に優しく先端の細かいマイナスドライバーを差し込んで外していきます。

Cリングを取り外すと、最深部に鎮座するスチールリングが取り外し出来ます。このリングを取り外さないとドライブ側のベアリングを打ち換えることは出来ません。やっとベアリングが打ち換えられますね。

これが打ち出されたベアリングになります。どうしてもプレスフィットされているベアリングですので、同様のパワーでここはベアリングを打ち出します。プレスフィットBBほどではありませんが、案外簡単に打ち出すことが出来ます。
問題は取り付けです。ブルーベアリングを圧入してきますが、専用の圧入工具を使用しなければ斜めにベアリングが入ってしまったり、シール(ブルーの部分)を誤っておしながら圧入してしまうとベアリング本体に負荷が掛かり破損する恐れがあります。圧入するベアリングの径にあった工具を選択して慎重に作業を行っていきましょう。決して焦ってはいけません。
だけど速くセラミックベアリングの回転を速く体験したいよぉおおお!!
圧入完了。走行インプレッション。
すべての工程が済み、僕のMAVIC ALLROD Sは後輪のみCDJセラミックベアリング仕様となりました。
(前輪のベアリングについては、CDJのランナップに適合するベアリングが無いため今回は見送りました)
さてインプレッションと行きます。正直、交換したての頃はベアリングの変化がよくわかりませんでした。手でホイールをもって回す分には明らかに回転がスムーズで抵抗感が減っていることが体験できました。
走行となるとフリーボディやBB、クランク、チェーン、ディレーラーとチェーンがドライブレインを通過する際に生じる機材抵抗が掛かる為、そこまで違いがわかりませんでした。
まぁBEACH LINE BICYCLEの敷地周辺をちょっと走ったくらいではよく分からなくて当然でしょう。毎朝コースを走ってみることにします。
使用してから30Km程経過すると、明らかに回転が良くなってきました。他のインプレッションブログ通りといえばその通りで、ブルーベアリングに封入されいるオイルの潤滑がセラミックベアリングにいきわたり始めると、ベアリングの抵抗感がどんどんなくなってくる感覚がありました。
ストラバでの走行データーをみても、登坂時の速度が0,3Km/h速くなっているのにパワーに変化はありませんでした。
直近の走行データーではついに登坂区間で1Km/h速度が速くなってました。
うんうん。セラミックベアリングの交換は十分効いてきてるぞ。
平坦区間ではフリー回転時の伸びがよくなった気がします。
スイーっと伸びていくので、スピードの減速も少なく速度維持がしやすくなった印象です。これはコスミックSL/SLRのようなディープリムに使うとかなり楽しいと思いますよ。
CDJセラミックホイールベアリングのお値段
気になるブルーベアリング/ブラックベアリングのお値段はこちらになります。

※適応一覧に乗っていないホイールでも、ベアリングサイズがCDJセラミックホイールベアリングの型番・外径・内径・厚みに適合していれば、基本的に交換は可能です。
ベアリングのシール部分に刻印された型番からも、使用できるベアリングタイプの判別が可能です。価格はすべてベアリング一個単品価格になります。今回作業内容の様に左右のベアリングを交換する場合は、ベアリングを2つ注文する必要がございます。予めご了承ください。
ホイールのアップグレードパーツとしても、
ホイールの買い替えはちょっと難しいけど、ベアリングのアップグレードならコスト的にもできそうなユーザーにおススメのCDJセラミックホイールベアリング。是非一度交換してみてその性能を体感してみましょう。
阿蘇ヒルクライムでも実際に使用してきます。大会でお会いできるのを楽しみにしております。
